大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和26(れ)230 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人田村政芳、同杉村進の上告趣意は末尾に添附した別紙記載の通りである。

第一点について。

原判決挙示の証拠により判示事実は十分認定することができる、論旨は理由がな

い。

第二点について。

法律上犯罪の成立を阻却すべき事由又は刑の加重減免の原由たる事実上の主張が

あつたときは之れに対する判断を示すべきことは旧刑訴三六〇条第二項の規定によ

り明らかであるが、同条の規定は特に判断を示すべきことを命じているだけであつ

てその判断の証拠上の理由を示すことを要求していないことは当裁判所判例の示す

ところであるから原判決は所論の如き違法はない(昭和二四年(れ)第八五九号同

年九月二九日第一小法廷判決参照)。

第三点について。

(1)所論は原審の自由裁量にゆだねられた証拠の取捨判断と事実の認定につい

て非難することに帰し上告適法の理由とならない。(2)原判決挙示の証拠により

被告人に恐喝の意思のあつたこと並に恐喝罪に当るべき行為のあつたことは十分認

め得るばかりでなく、原審の事実認定並に採証については何等法則に反するところ

はない。なお論旨末段において所論AのB、同Cに対する債務が弁済期にあつたこ

とを証拠により確定しなかつた違法があると主張するのであるが、しかし支払猶予

の約束は弁済期日到来前にすることもあり又弁済期到来後にすることもあり得るも

のである、そして支払猶予の約束をした時期の如何にかかわらず債務者の支払義務

の履行を先きにのばす点において債務者の利益となることは同一である。被告人が

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右両名に支払猶予を承諾させた当時右両名の債権が弁済期前であつたか、弁済期後

であつたか、にかかわらず支払を猶予させた事は所論Aの利益となるのであるから

原審において被告人が右B等に支払猶予を承諾せした当時即ち被告人の犯行当時右

両名の債権は弁済期が到来して居たことを確定しなかつたとしても所論のような違

法はなく、論旨は理由がない。

よつて旧刑訴四四六条により主文のとお判決する。

以上は裁判官全員一致の意見である。

検察官 田中巳代治関与

昭和二六年五月二二日

最高裁判所第三小法延

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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